創業時には、事業形態の選択(法人または個人)に応じて、税務署をはじめとするお役所への各種届出が義務付けられています。
これらの届出は事業開始後、決められた期限内に行うことが必要で、遅れてしまうと不利益となるることがあります。例えば、原則として開業後2カ月以内に申請書を提出しないと「青色申告」の特典がうけられません。
◎ 事業形態(法人か個人か)の選択
創業者は、個人事業主として開業するか、法人(株式会社、合同会社など)を設立するかを選択します。それぞれの形態には、手続きの簡便さ、信用度、税金、責任の範囲などに違いがあります。
| 創業手続き | 信用度 | 税金 | 責任の範囲 | |
| 法人 | 個人に比べ、手間と費用がかかります。 | 一般的に個人よりも信用力が高く、大規模な事業展開や資金調達に有利です。 | 利益が多くなるほど、法人税が個人所得税よりも節税になる可能性があります。 なお赤字の年度でも、一定額の住民税(均等割り)の負担があります。 |
会社と個人の財産が分離され、有限責任となることが多いです。 |
| 個人 | 比較的簡便で費用も抑えられます。 | 法人に比べ信用力は低い傾向です。 | 事業所得が少ないうちは法人よりも税負担が少ないですが、所得が増えると税率が高くなる傾向があります。 所定のビジネス報酬(原稿料・コンサルタント報酬等)は税金天引き(源泉所得税)が必要となることがあります。 |
事業の成果は全て個人の財産と見なされ、無限責任となります。 |
◎ 税務署への主な届出と提出期限
事業を開始する際には、以下のような届出が必要です。
| 名称 | 内容 | 提出期限 |
| ・開業届 (個人事業の開業・廃業等届出書) |
個人事業主が事業を開始した際に提出します。 | 開業から1カ月以内 |
| ・法人設立届出書 | 法人を設立した際に提出します。 | 設立から1カ月以内 |
| ・青色申告承認申請書 | 青色申告をするために提出します。税制上の優遇措置を受けるために重要です。 | 開業・設立から2カ月以内 (1/1~1/15までの個人開業の場合には、3/15まで) |
| ・給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員を雇用し給与を支払う場合に提出します。 | 事務所開設日から1カ月以内 |
| ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 給与を支払う従業員が常時10人未満の場合に、源泉所得税の納付を半年に一度にできる特例を受けるために提出します。 | 随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます) |
適切な時期に正確な届出を行うことで、税制上のメリットを享受し、将来的なトラブルを回避しましょう!
国税庁|個人が開業する場合
国税庁|新設法人の届出書類
◎ 各種書類の保存期間
日本における会社の創業者または経営者が保存すべき事業に関する書類は、さまざまな法律によって保存期間が定められていることがあります:
- 会計帳簿、請求書、領収書、契約書など:
- 会社法では10年間、法人税法や消費税法では7年間(欠損金繰越事業年度は10年間)の保存が義務付けられています。
最も長い10年間を目安に保存するのが安全です。
- 会社法では10年間、法人税法や消費税法では7年間(欠損金繰越事業年度は10年間)の保存が義務付けられています。
- 電子取引の取引情報(PDF形式の請求書、領収書など)
- 電子帳簿保存法に対応した形で、原則として7年間の保存が義務付けられています。
- 労働関連書類(労働者名簿・賃金台帳・雇入れ、解雇、退職に関する書類など)
- 労働基準法により3年間の保存が義務付けられています
- 社会保険関連書類:
- 健康保険法などにより2年間の保存が義務付けられています。
これらの保存期間は、あくまで法律で定められた最低限の期間です。
将来のトラブルや訴訟に備えるため、特に重要な契約書や許認可証などは、事業の存続期間にわたって保存しておくことも検討してください。
ご自身の会社の状況に合わせて、どの書類をどのくらいの期間保存すべきか、税理士や弁護士などの専門家にも相談することをお勧めします。