0. 創業者のための豆知識:印紙税

 

はじめに:印紙税って何?

新しい事業を始めるために会社を設立したり、お客様との契約を結んだり、様々な書類を作成する機会がありますよね。
実は、これらの書類の中には「印紙税」という税金がかかるものがあります。
収入印紙のイラスト印紙税は、特定の書類に決められた金額の「収入印紙」を貼り付けて納める税金です。
ちょうど切手を貼るようなイメージで、コンビニなどで印紙を買って、書類に貼った印紙に消印(はんこを押すこと)をします。

印紙税がかかる書類は、法律で定められた20種類あります。
書類の「名前」ではなく、そこに書かれている「内容」によって印紙税が必要かどうかが決まるので、注意が必要です。

*印紙税額一覧表PDF(国税庁 R6.11.18)

開業・創業時に「要注意」な文書はこれ!

事業を立ち上げる際に、皆さんが特によく目にする可能性のある、印紙税がかかる主な書類を見ていきましょう。

  • 契約書全般契約書のイラスト
    • 事務所や店舗の賃貸借契約書、売買契約書:例えば、オフィスやお店を借りる・購入する際に交わす「不動産の譲渡に関する契約書」や「土地の賃貸借契約書」などが当てはまります。
    • 業務委託契約書:ウェブサイト制作、内装工事、コンサルティングなど、外部に仕事を依頼する際の「請負に関する契約書」も印紙税の対象です。
    • 事業資金の借入契約書:金融機関からお金を借りる際の「金銭消費貸借契約書」も課税対象です。
    • 継続的な取引の基本契約書:仕入れ先との基本契約や、代理店契約、銀行との取引に関する「継続的取引の基本となる契約書」も含まれます。ただし、契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれます。
  • 領収書(金銭の受取書)領収書のイラスト
    • 商品やサービスの売上代金をお客様から受け取った際に発行する領収書(5万円以上のもの)は、「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」として印紙税がかかります。
  • 約束手形、為替手形
    • 手形を使って代金の支払いを受ける、または支払う場合に作成する手形も課税対象です。

「印紙税がかからない」ケースも知っておこう

一方で、印紙税が不要な「非課税文書」となるケースもあります。

  • 記載金額が一定額未満の取引
    • 領収書(受取書):記載された受取金額が5万円未満のものは印紙税がかかりません。これは日々の取引で非常によく当てはまるので、しっかり覚えておきましょう。
    • 約束手形、為替手形:記載された手形金額が10万円未満のもの、または金額の記載がないものは非課税です。
    • 債権譲渡または債務引受けに関する契約書:記載された契約金額が1万円未満のものは非課税です。
    • 預貯金証書:金融機関が作成するもので、記載された預入額が1万円未満のものは非課税です。
  • 国や特定の法人が作成する文書
    • 国、地方公共団体、または「株式会社日本政策金融公庫」などの特定の独立行政法人や公的機関が作成する文書は、原則として印紙税がかかりません。もし、皆さんがこれらの機関と共同で書類を作成し、その書類を皆さんが保管する場合、その書類は非課税とみなされることがあります。
  • 契約金額の記載がない文書(ただし注意!)
    • 契約書に「無償」や「0円」と書かれている場合、それは「記載金額がない」文書とみなされます。しかし、記載金額がないからといって必ず非課税になるわけではありません。例えば、「不動産の譲渡に関する契約書」や「請負に関する契約書」など、記載金額によって税額が変わる文書であっても、金額の記載がない場合は一律200円の印紙税がかかることがあります。
  • 【ここがポイント!】電子契約・電子領収書は非課税!
    • 印紙税法は、紙の文書に課税されることを前提としています。そのため、PDFなどの電子データで作成・送付される契約書や領収書には、原則として印紙税はかかりません。これは、事業を始める皆さんにとって大きなメリットです。電子契約サービスなどを活用すれば、印紙税を節約できる可能性があります。
  • 自然災害や新型コロナウイルス感染症の影響による非課税措置
    • 過去には、自然災害による被害を受けた方や、新型コロナウイルス感染症の影響で経営に影響を受けた事業者向けの金銭貸付けに関する契約書など、特定の要件を満たす場合に限り、一時的な非課税措置が設けられていました。

こんな時、どうすればいい?開業・創業時の実用的な注意点

  • 文書の「内容」が重要!
    • 書類の「タイトル」が「覚書」や「注文書」などであっても、その内容が契約の成立や変更、金銭の受領の事実を証明するものであれば、課税文書とみなされ、印紙税が必要になる場合があります。例えば、注文書に「請書」としての性格も持つような記載がある場合などです。
  • 契約内容の変更も課税対象に
    • 一度結んだ契約の金額を増額する変更契約書や覚書は、変更後の増加額が記載金額となり、印紙税がかかります。減額する場合でも、記載金額がない文書として200円の印紙税がかかることがあります。
  • 誤って印紙を貼ってしまったら
    • 非課税文書に誤って印紙を貼ってしまったり、必要な金額よりも多く貼ってしまったりした場合は、所轄の税務署に申請することで、納めすぎた印紙税の還付(返金)や、他の印紙税への充当を請求できます。
  • 過怠税(かたい・ぜい=ペナルティ)に注意!
    • 課税文書なのに印紙を貼り忘れたり、貼った印紙を消印(はんこなどで消すこと)しなかったりすると、本来の印紙税額の2倍(合計で3倍)の「過怠税(ペナルティ)」が徴収されることがあります。消印を忘れただけでも、同じ額面の過怠税が課せられます。ただし、税務調査を受ける前に自主的に不納付を申し出た場合は、過怠税が10%に軽減されることもあります。
  • 迷ったら税務署へ相談
    • 印紙税の課税判断は、文書の内容や取引の複雑さによって難しい場合があります。少しでも迷うことがあれば、最寄りの税務署に事前に相談することをお勧めします。
  • e-Taxの活用
    • 印紙税の申告や納付手続きは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すると、税務署に出向いたり書類を送付する手間が省け、24時間いつでも提出できるなど、非常に便利です。

事業を円滑に進めるためにも、印紙税のルールを正しく理解し、適切な対応を心がけましょう。

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